2017年(平成29年)追試験 化学基礎 解答解説

第1問

問1 正解 5

1 × 海水には水 H2O 、塩化ナトリウム NaCl 、塩化マグネシウム MgCl2 など複数の純物質が含まれています。多くの純物質が混ざっているので、海水は混合物です。

2 × 食酢は純物質である水 H2O 、酢酸 CH3COOH などが含まれた混合物です。

3 × 塩酸は純物質である水 H2O 、塩化水素 HCl が含まれた混合物です。

4 × コンクリートはカルシウム Ca 、ケイ素 Si 、アルミニウム Al など、さまざまな物質が含まれた混合物です。

5 〇 グルコースは、グルコースというただひとつの物質から成ります。

グルコースは、分子式が C6H12O6 である純物質です。純物質 1 種類からなる物質なので、これは純物質です。

6 × 青銅は銅 Cu 、スズ Sn などが含まれる合金です。複数の純物質が含まれるので、これは混合物です。

7 × 銑鉄は鉄 Fe 、炭素 C などが含まれた混合物です。

問2 正解 8

酸素原子 O は 16 族の典型元素で、価電子は 6 、最外殻の電子数は 6 です。

①~⑧のなかで 16 族の元素があれば、酸素原子と最外殻の電子数は同じです。

なお酸素原子は原子番号が 8 であり、陽子数と電子数は 8 個です。K 殻に 2 個、L 殻に 6 個の電子が入っています。

1 × Al は 13 族の元素です。Al は原子番号が 13 で、K 殻に 2 個、L 殻に 8 個、M 殻に 3 個の電子が入っています。(最外殻電子数は 3 個)

2 × C は 14 族の元素です。C は原子番号が 6 で、K 殻に 2 個、L 殻に 4 個の電子が入っています。(最外殻電子数は 4 個)

3 × Cl は 17 族の元素です。Cl は原子番号が 17 で、K 殻に 2 個、L 殻に 8 個、M 殻に 7 個の電子が入っています。(最外殻電子数は 7 個)

4 × Li は 1 族の元素です。Li は原子番号が 3 で、K 殻に 2 個、L 殻に 1 個の電子が入っています。(最外殻電子数は 1 個)

5 × Mg は 2 族の元素です。Mg は原子番号が 12 で、K 殻に 2 個、L 殻に 8 個、M 殻に 2 個の電子が入っています。(最外殻電子数は 2 個)

6 × Ne は 18 族の元素です。Ne は原子番号が 10 で、K 殻に 2 個、L 殻に 8 個の電子が入っています。(最外殻電子は 8 個)

7 × P は 15 族の元素です。P は原子番号が 15 で、K 殻に 2 個、L 殻に 8 個、M 殻に 5 個の電子が入っています。(最外殻電子数は 5 個)

8 〇 S は 16 族の元素です。S は原子番号が 16 で、K 殻に 2 個、L 殻に 8 個、M 殻に 6 個の電子が入っています。(最外殻電子数は 6 個)

問3 正解 6

1 〇 粒子が規則正しく並んでできている固体を、結晶といいます。分子結晶は、分子が規則正しく並んでいる固体です。

2 〇 分子同士を結びつける力はイオン結合より弱いので、小さなエネルギー(低い温度)で分子結晶はバラバラになります。

そのため、一般に分子結晶の融点はイオン結晶より低くなります。

3 〇 分子結晶であるドライアイス( CO2 )やヨウ素( I2 )は固体から気体へ、または気体から固体へと昇華します。

4 〇 分子結晶は、分子同士を引き合わせる分子間力でできています。

5 〇 分子結晶には移動できる電子やイオンがないので、一般に電気を通しにくいです。

6 × 水が固体となった氷は、分子結晶です。

H2O 分子には極性があり、この極性ではたらく引力によって分子同士がつながり、分子結晶をつくっています。(この分子間の引力を特に水素結合と呼びます。)

問4 正解 a 4     b 2

ア CO2 は C = O 結合に極性がありますが、分子が直線形で極性は打ち消されます。

イ Cl2 では、Cl-Cl 結合に極性はありません。

同じ原子どうしの共有結合なので、電気陰性度に差はありません。そのため、共有電子対はそれぞれの塩素原子の中央にあります。

電荷の偏りがないので、この共有結合に極性はありません。二原子分子なので、分子全体でも極性はありません。

ウ NH3 は N-H 結合に極性があります。分子は三角錐形で極性があります。

エ H2 は H-H 結合に極性はありません。

同じ原子どうしの共有結合なので、電気陰性度に差はありません。そのため、共有電子対はそれぞれの水素原子の中央にあります。

電荷の偏りがないので、この共有結合に極性はありません。二原子分子なので、分子全体でも極性はありません。

オ H2O は O-H 結合に極性があります。分子は折れ線形で極性があります。

カ CH4 は C-H 結合に極性がありますが、分子が正四面体形で極性は打ち消されます。

選択肢ウの図を参照してください。

問5 正解 3

カリウムの原子量は、2 つの同位体の相対質量と存在比から求められる平均の質量のことです。

そこで質量数 41 のカリウム 41K の存在比を X パーセント、質量数 39 のカリウム 39K の存在比を (100 - X) パーセントとします。

$$39.10 = 40.96 × \frac{X}{100} + 38.96 × \frac{(100 - X)}{100}$$

これを解くと X = 7.0

問6 正解 6

洗浄した白金線(白金でできた細長い棒)を調べたい溶液に浸し、ガスバーナーの外炎に入れると、元素に特有な色の炎が観察できます。これを炎色反応といいます。

炎色反応の色は元素によって違うので、炎色反応を利用して、溶液中に何の元素が含まれていたかを調べることができます。

1 〇

2 〇

3 〇 外炎のほうが内炎より温度が高いです。

4 〇

5 〇

6 × 遷移元素には、鉄やニッケル、銅、銀、金、白金などの金属の元素が含まれます。

このうち遷移元素である銅 Cu は、炎色反応(青緑色)を示すので、⑥が誤りとなります。

問7 正解 1

1 × ビタミンC(アスコルビン酸)は酸化防止剤として食品に含まれます。

2 〇 ステンレス鋼は鉄 Fe 、クロム Cr 、ニッケル Ni の合金で、さびにくい素材です。

3 〇 プラスチックは小さな分子が繰り返し反応して結合することで、大きな分子となりできています。

4 〇 加熱すると二酸化炭素を発生させ、食品をふくらませることができます。

2 NaHCO3 → Na2CO3 + H2O + CO2

5 〇 塩化カルシウムは水分を吸収するので、乾燥剤として使われます。

6 〇 アンモニア NH3 は植物の栄養素である窒素の原料となります。アンモニアから生成した塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、尿素などが肥料となります。

第2問

問1 正解 4

これらの物質はすべて化合物ですので、複数の元素からできています。

このなかで酸素原子の含有率が最も低いものが、1 g 中に含まれる酸素の質量が最も小さいものとなります。

1 二酸化ケイ素 SiO2 の式量は 28 + 16 × 2 = 60

SiO2 1 分子のなかに酸素原子は 2 個あるので、

二酸化ケイ素 SiO2 分子の質量のうち、酸素原子の質量の比率は \(\frac{32}{60}\) ≒ 0.53

したがって、この物質 1 g 中に含まれる酸素の質量は約 0.53 g です。

2 水 H2O の分子量は 1.0 × 2 + 16 = 18

H2O 1 分子のなかに酸素原子は 1 個あるので、

水 H2O 分子の質量のうち、酸素原子の質量の比率は \(\frac{16}{18}\) ≒ 0.89

したがって、この物質 1 g 中に含まれる酸素の質量は約 0.89 g です。

3 二酸化炭素 CO2 の分子量は 12 + 16 × 2 = 44

CO2 1 分子のなかに酸素原子は 2 個あるので、

二酸化炭素 CO2 分子の質量のうち、酸素原子の質量の比率は \(\frac{32}{44}\) ≒ 0.73

したがって、この物質 1 g 中に含まれる酸素の質量は約 0.73 g です。

4 一酸化二窒素 N2O の分子量は 14 × 2 + 16 = 44

N2O 1 分子のなかに酸素原子は 1 個あるので、

一酸化二窒素 N2O 分子の質量のうち、酸素原子の質量の比率は \(\frac{16}{44}\) ≒ 0.36

したがって、この物質 1 g 中に含まれる酸素の質量は約 0.36 g です。

問2 正解 3

M や N の関係がわかりにくいので、アボガドロ定数を使って整理します。

アボガドロ定数を NA とします。

分子量 M の物質 1 g の物質量は、\(\frac{1}{M}\) モルです。

また定義より、分子が 1 モルあるとき、その分子の個数は NA 個になります。

分子量 M の物質 1 g 中の分子の個数が N なので、

\(\frac{1}{M}\) × NA = N

が成立します。この式を変形して NA を表すと

NA = MN  ‥‥(1)

また、分子量 18 の物質 100 g の物質量は、\(\frac{100}{18}\) モルです。

分子量 18 の物質 100 g 中にある分子の個数を X とすると

X = \(\frac{100}{18}\) × NA

となります。

上の式に (1) 式を代入すれば

$$X = \frac{100MN}{18}$$

となり、③が正解です。

問3 正解 8

Ca と Li は反応性が高いので、常温の水と激しく反応して水素を発生します。希硫酸とも反応します。

Ca + 2 H2O → Ca(OH)2 + H2

2 Li + 2 H2O → 2 LiOH + H2

Al と Fe は希硫酸と反応して水素を発生します。

2 Al + 3 H2SO4 → Al2(SO4)3 + 3 H2

Fe + H2SO4 → FeSO4 + H2

Ag は常温の水や希硫酸とは反応しません。

問4 正解 1

1 〇  シュウ酸二水和物 (COOH)2・2 H2O のモル質量は、(12 + 16 × 2 + 1.0) × 2 + (1.0 × 2 + 16) = 126[g/mol]

12.6 g のシュウ酸二水和物の物質量は

\(\frac{12.6[g]}{126[g/mol]}\) = 0.100[mol]

これを水に溶かして 1.00 L の水溶液にしているので、シュウ酸のモル濃度は 0.100 mol/L となります。

2 × 1.00 mol/L の塩酸の密度は 1.00 g/cm3 ではないので、塩酸 10.0 g をとってもその体積がわからず、含まれる HCl の物質量が計算できません。

これに水 990 g を加えても塩化水素 HCl の物質量は不明なので、塩酸のモル濃度もわかりません。

3 × 水を加えたあとの硫酸は 10 倍に希釈されているので、モル濃度が\(\frac{1}{10}\)となり 0.0100 mol/L となります。

硫酸は 2 価の強酸なので、水素イオン濃度は 0.02 mol/L に近くなります。

[H+] = 0.02[mol/L] の水溶液は pH 2 より小さいので、この溶液も pH 2 よりは小さいです。

4 × 質量パーセント濃度を 10.0 % にするためには、100 g の水酸化ナトリウムを水に溶かして 1000 g の水溶液にしなければなりません。

そのため、900 g の水を加えます。

問5 正解 1

中和点では以下の等式が成り立っています。

酸のモル濃度 × 酸の価数 × 酸の体積 = 塩基のモル濃度 × 塩基の価数 × 塩基の体積

そこで、求める酸のモル濃度を A [mol/L] とすると、

$$A[mol/L] × n × \frac{x[ml]}{1000[ml]} = c[mol/L] × m × \frac{y[ml]}{1000[ml]}$$

式を変形して A を表すと

$$A = \frac{cmy}{nx}[mol/L]$$

となります。

問6 正解 2

1 〇 水酸化バリウム Ba(OH)2 は 2 価の強塩基です。

2 × 塩酸は塩化水素 HCl を水に溶かした溶液で、強酸です。強酸なので水溶液中で電離して、H+ イオンと Cl イオンが存在します。水溶液中にあるイオンが電気を運ぶため、塩酸は電気を通します。

3 〇 ブレンステッド・ローリーの酸の定義のとおり、相手に水素イオンを与える物質は酸です。

4 〇 水素イオン H+ と水酸化物イオン OH の濃度が等しいときは、酸と塩基の濃度が等しいことになり中性です。

5 〇 塩化アンモニウムは弱塩基と強酸の塩であり、強塩基である水酸化ナトリウムを加えると、弱塩基のアンモニアが遊離します。

NH4Cl + NaOH  →  NaCl + NH3 + H2O

問7 正解 4

ヨウ化カリウム KI 中のヨウ化物イオン I は還元剤としてはたらき、ヨウ素 I2 になります。

過酸化水素 H2O2 は酸化剤としてはたらき、還元されて水 H2O になります。

これらの酸化還元反応の半反応式は

2 I → I2 + 2 e

H2O2 + 2 H+ + 2 e → 2 H2O

となります。

上の 2 式を加えて e を消去すると

2 I + H2O2 + 2 H+  →  I2 + 2 H2O

水溶液中にはカリウムイオン K+ と硫酸イオン SO42- があるので、これらを使って電気的に中性にできます。

両辺に 2 K+ と SO42- を加えて整理すると、反応式が完成します。

2 KI + H2O2 + H2SO4  →  I2 + K2SO4 + 2 H2O

この反応式(イオン反応式の段階でもわかります)から、H2O2 1 mol が反応すると I2 が 1 mol 生成することがわかります。

H2O2 の分子量は 1.0 × 2 + 16 × 2 = 34 です。

例えば、生成した I2 が 0.01 mol ならば、H2O2 の消費量は

34[g/mol] × 0.01[mol] = 0.34[g]

となり、この結果は④のグラフと一致します。

2016年(平成28年)本試験 化学基礎 解答解説

第1問

問1 正解 2

1 〇 同じ元素でも同位体はそれぞれ中性子の数が異なるので、質量数も違います。

2 × 同位体は原子番号が同じ(つまり陽子の数が同じ)で、中性子の数が異なる原子同士のことをいいます。陽子の数が同じなので、電子の数も同じです。

3 〇 同位体は同じ元素のうち、中性子の数が異なる原子のことを指します。

4 〇 原子量は、その元素のすべての同位体を集めたときの平均の質量です。

例えば塩素原子 Cl は、質量数 35(相対質量 34.97) の存在比が約 76 %、質量数 37(相対質量 36.97)の存在比が約 24 %なので、

原子量 = 34.97 × 約0.76 + 36.97 × 約0.24 ≒ 35.45

となります。周期表で確かめても、Cl の原子量は35.452と書かれています。

5 〇 ある元素の同位体が不安定であるために、原子核が崩壊しながら放射線を放出するものを放射性同位体といいます。

質量数 3 の水素原子や、質量数 14 の炭素原子が放射性同位体です。

問2 正解 a 4     b 1

上図は①から⑥の電子式です。

図の通り、

① 共有電子対 2 個と非共有電子対 2 個

② 共有電子対 1 個と非共有電子対 3 個

③ 共有電子対 3 個と非共有電子対 1 個

④ 共有電子対 4 個と非共有電子対 0 個

⑤ 共有電子対 1 個と非共有電子対 3 個

⑥ 共有電子対 1 個と非共有電子対 6 個

となります。

問3 正解 3

1 〇 a は原子番号 3 のリチウム原子 Li です。

電子配置は K 殻に 2 個、L 殻に 1 個です。最外殻の電子数は 1 個です。このように a は 1 族元素であり、アルカリ金属です。

2 〇 b は原子番号 6 の炭素原子 C です。炭素原子の電子配置は K 殻に 2 個、L 殻に 4 個です。最外殻の電子数は 4 個です。このように炭素原子 C は 14 族元素です。

f は原子番号 14 のケイ素原子 Si です。電子配置は K 殻に 2 個、L 殻に 8 個、M 殻に 4 個です。最外殻の電子数は 4 個です。このようにケイ素原子 Si は 14 族元素です。

b の炭素原子と f のケイ素原子は、ともに 14 族元素です。

3 × c は原子番号 9 のフッ素原子 F です。

電子配置は K 殻に 2 個、L 殻に 7 個です。最外殻の電子数は 7 個です。

フッ素原子は電子を失いにくく、イオン化エネルギーは大きいですが、希ガス元素の原子よりはイオン化エネルギーは小さいです。

d は原子番号 10 のネオン原子 Ne で、これは希ガスです。

電子配置は K 殻に 2 個、L 殻に 8 個です。最外殻の電子数は 8 個です。希ガス元素は安定な電子配置なので、電子を失いにくく、イオン化エネルギーは大きくなります。

このように c のフッ素原子のイオン化エネルギーより、d のネオン原子のイオン化エネルギーの方が大きいです。

4 〇 e は原子番号 12 のマグネシウム原子 Mg です。

電子配置は K 殻に 2 個、L 殻に 8 個、M 殻に 2 個です。最外殻の電子数は 2 個です。

f は上で見たように、原子番号 14 のケイ素原子 Si です。

e と f は M 殻まで電子が入っており、第 3 周期の原子です。

5 〇 e は原子番号 12 のマグネシウム原子 Mg です。

e は最外殻電子数 2 個の 2 族元素であり、2 個の電子を失い 2 価の陽イオンになりやすいです。

問4 正解 5

1 〇 分子内に極性があっても、分子全体で極性が打ち消されていれば、無極性分子になります。

例えば、メタン CH4 は C-H 結合で炭素原子 C が負電荷 δ- 、水素原子 H が正電荷 δ+ に偏って極性がありますが、全体では正四面体形となり極性を打ち消しあって無極性分子です。

下の右の図を参照してください。

2 〇 イオン結晶は、陽イオンと陰イオンが静電気的な引力(クーロン力)で引き合ってできています。

3 〇 金属の自由電子は自由に動けるので、原子核もそれに合わせ結合を保ったまま動くことができ、金属として伸びたり広がったりできます。

4 〇 二つの原子がそれぞれ不対電子を 1 つずつ提供することで、共有結合がつくられます。

5 × どちらか一方の原子が非共有電子対の 2 個の電子を提供し、つくられた結合でも共有結合になります。これは配位結合と呼ばれます。

配位結合がつくられたあとは、分子内のその他の共有結合と区別できません。

問5 正解 3

2.8 kg の青銅 A にはスズが 2.8 × \(\frac{4.0}{100}\) = 0.112[kg] 含まれます。

1.2 kg の青銅 B にはスズが 1.2 × \(\frac{30}{100}\) = 0.36[kg] 含まれます。

したがって、融解してできた 4.0 kg の青銅 C には、スズが

0.112 + 0.36 = 0.472[kg] = 472[g]

含まれています。

1.0 kg の青銅 C に含まれるスズの物質量は、スズのモル質量が 119 g/mol なので、

472[g] × \(\frac{1.0[kg]}{4.0[kg]}\) × \(\frac{1}{119[g/mol]}\) ≒ 0.99[mol]

問6 正解 7

弱酸の塩の炭酸カルシウムと希塩酸を反応させると、二酸化炭素が発生します。

(炭酸カルシウムは、弱酸の炭酸と強塩基の水酸化カルシウムの塩です。ここでは弱酸の遊離が起こり、炭酸が遊離します。炭酸は水と二酸化炭素に分解します。)

CaCO3 + 2 HCl  →  CaCl2 + CO2 + H2O

ふたまた試験管を使うこの実験では、希塩酸を炭酸カルシウムの試験管に加えたあと、元の方向に戻します。このとき、炭酸カルシウムが希塩酸側の試験管にこぼれないようにくびれを使います。

したがって、炭酸カルシウムはくびれがある側なので、イが正解です。

発生した二酸化炭素は空気より重いので、(二酸化炭素の分子量は 44 で空気の平均分子量は約 28.8 )下方置換法で捕集します。

したがって、気体はエの方法で捕集します。

二酸化炭素を石灰水に通じると白濁します。

Ca(OH)2 + CO2  →  CaCO3 + H2O

石灰水には水酸化カルシウム Ca(OH)2 が溶けており、CO2 と反応して炭酸カルシウム CaCO3 が生成します。炭酸カルシウムは水に溶けにくいので沈殿し、白濁します。

これらをまとめると正解は⑦です。

問7 正解 1

1 〇 正しい記述です。

抽出という操作は、茶葉やコーヒー豆から味や香りの成分をお湯に溶かし出す例などがあります。

溶媒に対する溶けやすさの差を利用する例では、混合物に水と油をそれぞれ接触させたとき、混合物中から水に溶けやすい成分は水のなかへ、油に溶けやすい成分は油のなかへと別々に溶けだす現象があります。

この抽出操作によって、混合物中にあった水に溶けやすい成分と油に溶けやすい成分は分離できます。

2 × 沸点の差を利用して、液体中の混合物から成分を分離する方法は分留(または蒸留)です。

原油を加熱して、原油に含まれる軽油・灯油・ナフサ(粗製ガソリン)・石油ガスを分離する操作が分留の例です。

3 × 固体と液体の混合物から、ろ紙などで固体を分離する方法はろ過です。

砂の混ざった水をろ過すると、固体の砂と液体の水に分離できます。

ろ過のほかの例では、水溶液中で沈殿や結晶が生成したときにろ過をすると、水溶液から固体の沈殿や結晶を分離することができます。

4 × 不純物を含む固体を溶媒に溶かし、温度によって溶解度が異なることを利用してより純粋な物質を析出させる操作は、再結晶といいます。

再結晶の例では、塩化ナトリウムと硝酸カリウムの混合物である固体を熱水に溶かす例があります。

水溶液の温度を下げていくと、硝酸カリウムを溶解できる量が減ってくるので、硝酸カリウムの結晶が析出してきます。

この結晶は、水溶液をろ過することで分離できます。

5 × 固体の混合物を加熱して、固体から直接気体になる成分を冷却して分離する操作は、昇華法といいます。

昇華法の例では、砂とヨウ素の混合物を加熱して、ヨウ素の気体を発生させる例があります。

ヨウ素の気体を冷却すれば、ヨウ素だけの固体を分離できます。

第2問

問1 正解 3

ダイヤモンドは炭素原子が共有結合してできています。

炭素の原子量は 12 なので、炭素原子のモル質量は 12 g/mol となります。

問題では 0.1 カラットのダイヤモンド、つまり 0.20 g の炭素の共有結合結晶には、炭素原子が何モルあるかを計算します。

求める炭素の物質量は

\(\frac{0.20[g]}{12[g/mol]}\) ≒ 0.017[mol]

です。

問2 正解 2

1.1 g 生成した CO2 の分子量は 44 です。このなかの炭素原子の質量は、

1.1[g] × \(\frac{12}{44}\) = 0.30[g]

0.90 g 生成した H2O の分子量は 18 です。このなかの水素原子の質量は、

0.90[g] × \(\frac{2.0}{18}\) = 0.10[g]

この有機化合物が完全燃焼した化学反応式は

有機化合物 + O2  →  CO2 + H2O

となります。(係数の数値は無視しています。)

ある有機化合物は 0.80 g はじめにあったので、このなかにある酸素原子の質量は、

0.80 - ( 0.30 + 0.10 ) = 0.40[g]

なお、有機化合物に含まれていた元素があとは酸素だけとは書かれていませんが、完全燃焼後に残った化合物からわかります。

CO2 と H2O しか生成していないので、有機化合物には C と H と O だけが含まれていました。

これら 3 つの原子について、存在する質量を原子量で割ると有機化合物の組成式がわかります。

\(\frac{0.30}{12}\) : \(\frac{0.10}{1.0}\) : \(\frac{0.40}{16}\) = 0.025:0.10:0.025 = 1:4:1

つまり、CH4O の整数倍がこの有機化合物の分子式です。

この原子の比率に合うのは、CH3OH しかありません。

問3 正解 3

密度が 1.0 g/cm3 で、質量パーセント濃度 5.0 % の 1 L の溶液には、溶質は

1.0[g/cm3] × 1000[cm3] × \(\displaystyle\frac{5.0}{100}\) = 50[g]

含まれます。

50 g のグルコースの物質量は

\(\displaystyle\frac{50[g]}{180[g/mol]}\) ≒ 0.28[mol]

です。

これより、求める溶液のモル濃度は 0.28[mol/L]

問4 正解 2

滴下量 10 mL の前後で pH が大きく動いているので、この付近が中和点と考えられます。

pH = 5.2 前後で中和しているので、弱塩基に強酸を加えていると思われます。

変色域の pH が 4.2 ~ 6.2 の指示薬ならば、中和点直前の pH = 6.2 まで色は変わらず、中和点を過ぎた直後の pH = 4.2 で色が変わるので、この滴定では適切です。

他の指示薬では、③と④では中和される前に変色してしまいます。①は中和点を少し過ぎたあとでないと変色しません。

このように②以外の指示薬は不適当です。

問5 正解 a 7     b 1

ア CH3COONa 弱酸 (酢酸 CH3COOH) と強塩基 (水酸化ナトリウム NaOH) の塩で、水に溶かすと塩基性です。

イ KCl 強酸 (塩酸 HCl) と強塩基 (水酸化カリウム KOH) の塩で、水に溶かすと中性です。

ウ Na2CO3 弱酸 (炭酸 H2CO3) と強塩基 (水酸化ナトリウム NaOH) の塩で、水に溶かすと塩基性です。

エ NH4Cl 強酸 (塩酸 HCl) と弱塩基 (アンモニア NH3) の塩で、水に溶かすと酸性です。

オ CaCl2 強酸 (塩酸 HCl) と強塩基 (水酸化カルシウム Ca(OH)2) の塩で、水に溶かすと中性です。

カ (NH4)2SO4 強酸 (硫酸 H2SO4) と弱塩基 (アンモニア NH3) の塩で、水に溶かすと酸性です。

問6 正解 4

1 〇 過マンガン酸カリウム水溶液が酸化剤として、シュウ酸が還元剤として酸化還元反応が起こります。この反応で、赤紫色の MnO4 がほぼ無色の Mn2+ となります。

過マンガン酸カリウムが酸化剤としてはたらきます。

半反応式は

MnO4 + 8 H+ + 5 e → Mn2+ + 4 H2O  ‥‥(A)

Mn の酸化数が +7 から +2 へ変化しています。過マンガン酸イオン MnO4 は赤紫色で、マンガン(Ⅱ)イオン Mn2+ はほぼ無色なので、酸化還元反応が進んだことがわかります。

シュウ酸は還元剤としてはたらきます。半反応式は

H2C2O4  →  2 CO2 + 2 H+ + 2 e  ‥‥(B)

C の酸化数が +3 から +4 へ変化しています。

反応式を完成させるには (A)式 × 2 と (B)式 × 5 を両辺足し合わせます。

2 MnO4 + 5 H2C2O4 + 6 H+  →  10 CO2 + 2 Mn2+ + 8 H2O

カリウムイオン( K+ を2個) と硫酸イオン( SO42- を3個) を両辺に加えて、電荷を中性にして完成です。

2 KMnO4 + 5 H2C2O4 + 3 H2SO4  →  10 CO2 + 2 MnSO4 + 8 H2O + K2SO4

2 〇 Na が還元剤としてはたらきます。反応式は次のようになります。

2 Na + 2 H2O → 2 NaOH + H2

Na の酸化数は 0 → +1 に変化しています。

3 〇 銅が酸化されて酸化銅(Ⅱ)になっています。

2 Cu + O2 → 2 CuO

銅の酸化数は 0 → +2 です。

4 × 硝酸銀水溶液 AgNO3 の Ag+ イオンと、食塩水 NaCl の Cl イオンが反応します。

塩化銀の沈殿では、酸化数の変化はありません。

Ag+ + Cl → AgCl

5 〇 過酸化水素が酸化剤として、ヨウ化カリウムが還元剤としてはたらきます。

半反応式は

2 I → I2 + 2 e

H2O2 + 2 H+ + 2 e → 2 H2O

半反応式の両辺を足し合わせると

H2O2 + 2 I + 2 H+  →  I2 + 2 H2O

カリウムイオン( K+ を2個)と、硫酸イオン( SO42- )を両辺に加えて、電気的に中性にすれば反応式は完成です。

H2O2 + 2 KI + H2SO4  →  I2 + 2 H2O + K2SO4

生成物のヨウ素 I2 と水溶液中のヨウ化物イオン I から、褐色の三ヨウ化物イオン I3 が生じます。

問7 正解 6

イオン化傾向の大きな金属の方が、陽イオンとなりやすいです。陽イオンとなるとき、電子が失われており、酸化されています。

このように、イオン化傾向の大きな金属は酸化されて陽イオンとなり、水溶液中に溶け出します。

酸化反応で放出された電子は、導線を通ってイオン化傾向の小さな金属の方へ流れていき、水溶液中の電解質と還元反応を起こします。

電池では、酸化反応が起こり電子が流れ出る側が負極で、電子を受けて還元反応が起こる側が正極です。

2016年(平成28年)追試験 化学基礎 解答解説

第1問

問1 a 5     b 1

a

図 1 の電子式から、この原子 A は最外殻に電子を 5 個もっていることがわかります。

そこで、①~⑥の元素のうち、最外殻の電子が 5 個のものを探します。

1 × 酸素は原子番号 8 であり、陽子と電子の数は 8 個です。電子は K 殻に 2 個、L 殻に 6 個です。最外殻の電子数は 6 です。

2 × フッ素は原子番号 9 であり、陽子と電子の数は 9 個です。電子は K 殻に 2 個、L 殻に 7 個です。最外殻の電子数は 7 です。

3 × アルミニウムは原子番号 13 であり、陽子と電子の数は 13 個です。電子は K 殻に 2 個、L 殻に 8 個、M 殻に 3 個です。最外殻の電子数は 3 です。

4  × ケイ素は原子番号 14 であり、陽子と電子の数は 14 個です。電子は K 殻に 2 個、L 殻に 8 個、M 殻に 4 個です。最外殻の電子数は 4 です。

5 〇 リンは原子番号 15 であり、陽子と電子の数は 15 個です。電子は K 殻に 2 個、L 殻に 8 個、M 殻に 5 個です。最外殻の電子数は 5 です。

リンの原子は最外殻に電子を 5 個もつので、電子式で表すと図 1 のようになります。

6 × アルゴンは原子番号 18 であり、陽子と電子の数は 18 個です。電子は K 殻に 2 個、L 殻に 8 個、M 殻に 8 個です。最外殻の電子数は 8 です。

b

この銅イオンは、原子番号 29(陽子の数 29 )で質量数が 65 である、2 価の陽イオンです。

陽子の数が 29 なので電子の数も 29 ですが、2 価の陽イオンとなっているので 2 個の電子を失っています。そこで、電子の数は 27 となります。

問2 4

1 〇

この酸素原子は原子番号 8(陽子の数 8 )で、質量数が 16 です。

質量数 = 陽子の数 + 中性子の数

ですから、中性子の数は 8 です。

2 〇

この2つの炭素原子は、中性子の数が 1 異なる同位体です。

左の炭素原子は質量数 12 で原子番号 6 なので、陽子の数と電子の数は 6 個、中性子の数は 6 個です。

右の炭素原子は質量数 13 で原子番号 6 なので、陽子の数と電子の数は 6 個、中性子の数は 7 個です。

中性子の数だけが異なる原子同士は、同位体と呼ばれます。同位体の化学的性質はほとんど同じです。

3 〇 第 2 周期と第 3 周期の同族元素では、原子番号が 8 ずれています。原子番号に 8 だけ差があるので、陽子の数の差も 8 です。

4 × それぞれの原子の質量は、相対質量として表されます。この相対質量は、質量数とほぼ一致します。

そのため、原子の質量は質量数にほぼ比例します。

一方、質量数 = 陽子の数 + 中性子の数

となるので、原子の質量は原子番号(陽子の数)に比例しません。

5 〇 記述のとおり、多くの元素は同位体をもちます。

問3 5

1 〇 オゾン O3 と酸素 O2 は酸素元素の同素体です。

2 〇 ナトリウムは金属です。金属の単体は金属結晶で、結晶内を自由に電子が動けるので電気を通します。

3 〇 硫黄元素の同素体には、斜方硫黄、単斜硫黄、ゴム状硫黄があります。

斜方硫黄と単斜硫黄は黄色の S8 で表される環状分子、ゴム状硫黄は黄~黄褐色の鎖状分子です。

4 〇 水銀の単体は水銀の金属結晶です。水銀は常温常圧で液体の状態となる、ただひとつの金属です。

5 × 塩素の単体は、二原子分子の塩素 Cl2 です。2 つの原子が共有結合しています。

問4 2

まず、イオン結晶の基本的性質について確認しましょう。

陽イオンと陰イオンが規則正しく並んでできた固体を、イオン結晶といいます。

イオン結晶では、陽イオンと陰イオンはクーロン力によってイオン結合し、多数のイオンが配列しています。

イオン結晶は一般に、融点が高く硬いです。しかし、特定の面に沿って割れやすい性質があります。

イオン結晶は、固体のままでは電気を通しません。しかし、融解して液体になると電気を通します。

イオン結晶を水に溶かすと、その水溶液は電気を通します。

イオン結晶は、組成式で表されます。

1 〇 一般にイオン結晶は融点が高いです。

2 × イオン結晶は固体のままでは電気を通しにくいです。溶液に溶けるか、融解して液体になると、電荷を持ったイオンが動ける状態となり電気を通します。

3 〇 硬いですが、力をかけるとイオンの結晶構造がずれて静電気的な引力がなくなり、同じ電荷のイオン同士は反発し、もろくなります。

4 〇 イオン結晶は、陽イオンと陰イオンが規則正しく並んでいます。

5 〇 水に溶かすと陽イオンと陰イオンに電離するので、電気も通します。

問5 4

1 〇 湿った空気中に鉄を放置すると、赤さび Fe2O3 が生じます。

2 〇 銑鉄には炭素が 4 %ほど含まれますが、炭素の含有量を減らすと割れにくい鋼になります。

3 〇 アルミニウムは密度の小さい軽金属です。

4 × アルミニウムは、ボーキサイトから得られる酸化アルミニウムを高温で融解し、電気分解することでつくられます。

5 〇 アルミニウムに銅、マグネシウム、マンガンなどを加えた合金であるジュラルミンは、軽くて強度がある素材です。

問6 5

ろ過の操作では、ビーカーからガラス棒を伝わらせて液体をろうとに流します。ガラス棒はろうとの側面につけて、液体を伝わらせます。

このとき液体が飛び散らないように静かに少しずつ、ろうとの中に敷いてあるろ紙の上に流し込みます。

ろうとから下のビーカーに液体を落とすときも、飛び散らないようにビーカーの側面を伝わらせます。ろうとの足をビーカーの側面につけることで、ろ過を速く進めることができます。

問7 4

固体の水(氷)は 0 ℃ より低い温度で存在し、融点である 0 ℃ で固体から液体に融け始めます。固体がすべて液体になるまで、温度は 0 ℃ のままです。

水がすべて液体になると、加熱とともに温度は 0 ℃ から 100 ℃ まで上昇します。ただし、液体の状態でも液面からは蒸発して、一部の水は気体になります。

そして沸点の 100 ℃ まで加熱すると、沸騰が始まり液体の水は気体になります。このとき、液体の水が残っている間は温度は 100 ℃ を保っています。

すべての水が気体となったあと、加熱すると 100 ℃ より高い温度に上昇していきます。

1 〇 点 A では固体の水のみ存在します。

2 〇 T1 は融点で、0 ℃ です。

3 〇 加熱され氷が完全に融けるまでは、温度は 0 ℃ を保ちます。

4 × T1 は 0 ℃ 、T2 は 100 ℃ です。この間の液体の水の状態でも、液面から蒸発は起こっています。

例えば室温の条件下で置かれたコップの水は、時間がたつと液面から蒸発して気体になっていき、最後は液体の水はなくなります。

5 〇 T2 は沸点で、100 ℃ です。

6 〇 100 ℃ で沸騰している状態なので、液体の水の体積は加熱とともに減少します。

第2問

問1 5

同温・同圧で比較するので、わかりやすく標準状態( 0 ℃、1.013 × 105 Pa)として考えます。

標準状態では、気体の種類によらず 22.4 L の体積の気体は、物質量が 1 mol です。

1 1.0 L のアルゴン Ar の物質量は、\(\frac{1.0[L]}{22.4[L/mol]}\) です。

物質量と気体の分子量(モル質量)の積が、求める質量です。

アルゴンの分子量は 40 です。

求める質量 = \(\frac{1.0}{22.4}\)[mol] × 40[g/mol] = \(\frac{40}{22.4}\)[g]

以下も同様に計算します。

2 二酸化炭素 CO2 の分子量は 44 なので

求める質量 = \(\frac{1.0}{22.4}\)[mol] × 44[g/mol] = \(\frac{44}{22.4}\)[g]

3 水素 H2 の分子量は 2.0 なので

求める質量 = \(\frac{3.0}{22.4}\)[mol] × 2.0[g/mol] = \(\frac{6.0}{22.4}\)[g]

4 メタン CH4 の分子量は 16 なので

求める質量 = \(\frac{3.0}{22.4}\)[mol] × 16[g/mol] = \(\frac{48}{22.4}\)[g]

5 アンモニア NH3 の分子量は 17 なので

求める質量 = \(\frac{3.0}{22.4}\)[mol] × 17[g/mol] = \(\frac{51}{22.4}\)[g]

分母の値は共通なので、分子の値を比べると 3.0 L のアンモニアが最も質量が大きいことがわかります。

問2 3

化学反応式の各原子について、両辺の数が等しくなるように係数を合わせます。

C2H4O2 の係数は 1 です。O2 の係数は a 、CO2 の係数は b 、H2O の係数は c です。

それぞれの原子について、左辺の数と右辺の数は等しくなります。

C原子の左辺と右辺の数: 2 × 1 + 0 × a = 1 × b + 0 × c

H原子: 4 × 1 + 0 × a = 0 × b + 2 × c

O原子: 2 × 1 + 2 × a = 2 × b + 1 × c

整理すると

C: 2 = b

H: 4 = 2c

O: 2 + 2a = 2b + c

この3式を解くと

b = 2

c = 2

a = 2

問3 5

密度 1.14 g/cm3 、質量パーセント濃度 32.0 % の塩酸 10.0 mL に含まれる塩化水素 HCl の物質量をまず計算します。

塩酸 10.0 mL ( = 10.0 cm3 ) の質量は、1.14[g/cm3] × 10.0[cm3] = 11.4[g]

その中に含まれる塩化水素の質量は、11.4[g] × \(\displaystyle\frac{32.0}{100}\)

塩化水素のモル質量(分子量)は 36.5 [g/mol] なので、

塩化水素の物質量は

$$11.4[g] × \frac{32.0}{100} × \frac{1}{36.5[g/mol]} ≒ 0.09994[mol]$$

この塩酸を 500mL に希釈しました。

このとき、500 mL の水溶液中に塩化水素は 0.09994 mol 溶解しています。

モル濃度は 1 L 当たりの物質量の濃度として計算されるので、求めるモル濃度は

0.09994[mol] × \(\displaystyle\frac{1000}{500}\)[/L] ≒ 0.200[mol/L]

希釈後の水溶液のモル濃度は、⑤の0.200 mol/L です。

問4 1

塩酸 HCl に水酸化ナトリウム NaOH 水溶液を滴下していくと、各イオンの濃度はどうなるのか考えます。

NaOH を加えていくと、Na+ イオンはそのまま水溶液に残り、OH イオンは中和反応に使われます。

もともと存在した HCl の H+ イオンは中和反応に使われ、Cl イオンはそのまま水溶液に残ります。

0.10 mol/L の塩酸( 1 価の酸)10 mL に、0.10 mol/L の水酸化ナトリウム( 1 価の塩基)を 10 mL 滴下したとき、はじめにあった H+ イオンがなくなって中和反応が終わります。

これらより、水酸化ナトリウム水溶液の滴下量が増えると、イオンのモル濃度が増え続ける a のグラフが Na+ イオンです。

水酸化ナトリウム水溶液の滴下量が増えるとイオンのモル濃度が減少し、滴下量が 10 mL となったときにモル濃度が 0 となる b のグラフは H+ イオンです。

水酸化ナトリウム水溶液の滴下量が 10 mL を超えると、イオンのモル濃度が 0 から増え始める c のグラフは OH イオンです。

問5 7

直感的に、希釈後の水酸化ナトリウム水溶液の濃度は暗算できます。

0.020 mol/L の水酸化ナトリウム水溶液 50 mL を純水で希釈して 100 mL としたので、2 倍に希釈したことになります。

2 倍に希釈したので、モル濃度は 2 分の 1 の 0.010 mol/L となります。

直感でも求められますが、ここでは計算してみましょう。

0.020 mol/L の水酸化ナトリウム NaOH 水溶液 50 mL に含まれる NaOH の物質量は

0.020[mol/L] × \(\frac{50}{1000}\)[L] = 0.0010[mol]

この水溶液を希釈して 100 mL としているので、希釈後の NaOH 水溶液のモル濃度は

\(\frac{0.0010[mol]}{100[mL]}\) × 1000[mL/L] = 0.010[mol/L]

希釈後の NaOH 水溶液のモル濃度が求まりました。

NaOH 水溶液は 1 価の強塩基で、電離度は 1 と考えられます。

NaOH → Na+ + OH

と電離します。

これより水酸化物イオン濃度 [OH] = 0.010[mol/L] となるので、

水のイオン積 Kw = [H+] [OH] = 1.0 × 10-14[mol2/L2] より

[H+] = 1.0 × 10-12[mol/L] となります。

[H+] = 10-pH と定義されるので、希釈後の水溶液の pH は 12 です。

問6 4

1 SO2 全体の酸化数は 0 、O の酸化数は -2 なので、S 原子の酸化数は +4 です。

2 H2S 全体の酸化数は 0 、H の酸化数は +1 なので、S 原子の酸化数は -2 です。

3 NO2 全体の酸化数は 0 、O の酸化数は -2 なので、N 原子の酸化数は +4 です。

4 HNO3 全体の酸化数は 0 、H の酸化数は +1 、O の酸化数は -2 なので、N 原子の酸化数は +5 です。

5 N2 全体の酸化数は 0 なので、N 原子の酸化数は 0 です。(単体分子の原子の酸化数は 0 です。)

6 NH3 全体の酸化数は 0 、H の酸化数は +1 なので、N 原子の酸化数は -3 です。

問7 2

1 〇 イオン化傾向は銅 Cu より亜鉛 Zn の方が大きく、Zn は陽イオンになりやすいです。Zn が溶けて電子を放出し、Cu2+ イオンが電子を受け取り析出します。

2 × 塩化マグネシウム MgCl2 水溶液には、マグネシウムイオン Mg2+ と塩化物イオン Cl が存在します。

イオン化傾向は鉄 Fe よりマグネシウム Mg の方が大きく、Mg は陽イオンになりやすいです。そのため Fe は溶けず、Mg2+ は陽イオンのままです。

3 〇 イオン化傾向は銀 Ag より銅 Cu の方が大きく、Cu は陽イオンになりやすいです。Cu は溶けて電子を放出し、Ag+ イオンが電子を受け取り析出します。

4 〇 亜鉛 Zn は塩酸に溶け、陽イオンとなります。放出された電子を塩酸の水素イオン H+ が受け取り、水素 H2 が発生します。

Zn + 2 HCl → ZnCl2 + H2

5 〇 白金 Pt は濃塩酸と濃硝酸の混合物である王水に溶けます。

2015年(平成27年)本試験 化学基礎 解答解説

第1問

問1 正解 6

単体は 1 種類の元素からできている純物質です。単体ではないということは、2 種類以上の元素からできている化合物や、複数の純物質からなる混合物が当てはまります。

1 黒鉛は C で表され、炭素元素が 1 種類だけでできているので、単体です。黒鉛は炭素原子の共有結合からなります。

2 単斜硫黄は S8 で表され、硫黄元素が 1 種類だけでできているので、単体です。単斜硫黄は硫黄原子の共有結合からなります。

3 水銀は金属で、Hg と表されます。水銀元素が 1 種類だけでできているので、単体です。

4 赤リンはリン元素が 1 種類だけでできているので、単体です。赤リンは P と表されます。

5 オゾンは酸素元素が 1 種類だけでできているので、単体です。オゾンは酸素原子からできている分子で、O3 と表されます。

6 水晶は二酸化ケイ素 SiO2 が成分の無機物質です。SiO2 はケイ素元素 Si と酸素元素 O の 2 種類から構成されるので、単体ではなく化合物です。

問2 正解 5

この問題を解くには、原子番号 20 のカルシウムまでの周期表の配置を覚えている必要があります。

また、原子がイオンになったときの電子の数の変化も、理解しておきましょう。

1 〇 ナトリウム Na は原子番号 11 の原子で、K 殻に 2 個、L 殻に 8 個、M 殻に 1 個の電子を持っています。

2 〇 マグネシウム Mg は原子番号 12 の原子で、K 殻に 2 個、L 殻に 8 個、M 殻に 2 個の電子を持っています。

3 〇 リチウム Li 原子は原子番号 3 の原子で、リチウムイオン Li+ になるとき 1 個の電子を失います。

リチウム原子からイオンが生成する式は次の通りです。

Li → Li+ + e

リチウム原子では 3 個あった電子が 1 個失われ、リチウムイオンは 2 個の電子を持っています。

またヘリウム He 原子は原子番号 2 の原子なので、2 個の電子を持っています。

このように、リチウムイオンとヘリウム原子はともに 2 つの電子を持ち、同じ電子配置です。

4 〇 カルシウム Ca 原子は原子番号 20 の原子で、カルシウムイオン Ca2+ になるとき 2 個の電子を失います。

カルシウム原子からイオンが生成する式は次の通りです。

Ca → Ca2+ + 2 e

カルシウム原子では 20 個あった電子が 2 個失われ、カルシウムイオンは 18 個の電子を持っています。

またアルゴン原子は原子番号 18 の原子なので、18 個の電子を持っています。

このように、カルシウムイオンとアルゴン原子はともに 18 個の電子を持ち、同じ電子配置です。

5 × フッ素は原子番号 9 の原子であり、K 殻に 2 個、L 殻に 7 個の電子を持っています。最外殻の電子数は 7 個なので、価電子は 7 個です。

なお、フッ素はハロゲン( 17 族元素)であり、フッ化物イオンとして 1 価の陰イオンになりやすい原子です。

6 〇 ケイ素は原子番号 14 の原子で、K 殻に 2 個、L 殻に 8 個、M 殻に 4 個という電子配置です。14 族元素であり最外殻の電子数は 4 個なので、価電子は 4 個です。

問3 正解 3

状態変化の用語です。

a :固体から気体になることを昇華といいます。逆方向の気体から固体になることも昇華といいます。

b :気体から液体になることを凝縮といいます。逆方向の液体から気体になることを蒸発といいます。

c :固体から液体になることを融解といいます。逆方向の液体から固体になることを凝固といいます。

問4 正解 2

分子 XZ の電子式では、二つの原子の間で三重結合ができています。これは不対電子を 3 つもつ原子が結合しています。

①~⑤に含まれる原子で不対電子が 3 個あるのは、N だけです。

このように、三重結合をつくるのは窒素分子 N2 です。他の分子の電子式は以下の通りです。

問5 正解 1

無極性分子となるのは、すべて極性のない結合でできている分子か、または分子全体の形で結合の極性が打ち消されている分子です。

それぞれの分子の構造式を下に示します。

1 〇 C = O 結合に極性はありますが、分子が直線形なので極性は打ち消されます。

2 × HF の共有電子対はフッ素原子側に引き寄せられ、強い極性を持ちます。

3 × C - H 結合には弱い極性、C - Cl 結合には強い極性があります。分子は正四面体形に近く、極性を打ち消さないので、分子全体でも極性があります。

4 × O - H 結合には強い極性があります。分子が折れ線形なので、極性が打ち消されず、分子全体で極性があります。

5 × H - C 結合の共有電子対は C 側に、C - N の三重結合では共有電子対は N 側に引き寄せられ、極性があります。

問6 正解 2

1 〇 塩素 Cl2 分子をつくっている Cl - Cl 結合は、完全な共有結合です。

2 × アンモニア NH3 分子をつくっている N - H 結合は、すべて共有結合です。

配位結合とは、一方の原子が他の原子に非共有電子対の電子を 2 個提供することによって、つくられる結合のことです。

ここでは、窒素原子と水素原子はそれぞれ 1 個ずつ電子を出して共有結合をつくっています。

3 〇 銅 Cu は金属であり、金属は金属結合で結晶をつくっています。

4 〇 塩化ナトリウム NaCl は、Na+ イオンと Cl イオンの静電気的引力(クーロン力)でイオン結合をつくっています。

5 〇 炭酸カルシウム CaCO3 は、Ca2+ イオンと CO32- イオンがイオン結合をつくっています。

また炭酸イオン CO32- は、炭素原子と酸素原子が共有結合してイオンができています。

問7 正解 4

1 〇 プラスチックは主に石油を原料とする有機化合物であり、分子量の大きな高分子化合物です。

2 〇 白金は化学的に安定な金属です。

3 〇 非常に硬く融点の高いダイヤモンドは、共有結合でできた結晶です。

4 × 鉄は還元されて得られます。鉄鉱石は Fe2O3 のような酸化鉄が主成分です。

5 〇 アルミニウムは高温下での電気分解で得られますが、このとき大きな電力が必要です。

第2問

問1 正解 2

気体の種類によらず、0 ℃、1.013 × 105 Pa の条件下では、気体は物質量 1 mol で体積が 22.4 L です。

つまり同温・同圧(ここでは 0 ℃ ・ 1.013 × 105 Pa )の条件では、物質量が多いほど気体の体積は大きくなります。

気体の質量が 1 g であるとき、気体の分子量が小さいほど、その気体の物質量は大きくなります。

例えば、気体の分子量を M とすると、1 g の気体の物質量は

$$\frac{1}{M}mol$$

となります。

このとき、M が小さいほど気体の物質量は大きくなり、1 g の気体の体積は大きくなります。

それぞれの気体の分子量は、

① O2 = 16 × 2 = 32

② CH4 = 12 + 1.0 × 4 = 16

③ NO = 14 + 16 =30

④ H2S = 1.0 × 2 + 32 =34

であり、正解は②です。

問2 正解 1

プロパン C3H8 を完全燃焼させたときの化学反応式は次の通りです。

C3H8 + a O2 → b CO2 + c H2O

酸素と反応させて完全燃焼すると、二酸化炭素と水が生成します。

ここで、プロパン以外の化合物に係数をつけ、原子ごとに両辺の数を合わせると、反応式が完成します。

1 mol のプロパンを反応させているので、プロパンの係数は 1 です。

a mol の酸素が消費され、 b mol の二酸化炭素と c mol の水が生成したので、それぞれの係数を a と b と c で表します。

まず炭素原子を考えると、左辺は C3H8 に 3 個の炭素原子、右辺は CO2 に 1 個の炭素原子があります。

C: 3 × 1 = 1 × b

b = 3 とわかります。

C3H8 + a O2 → 3 CO2 + c H2O

次に水素原子を考えると、左辺は C3H8 に 8 個の水素原子、右辺は H2O に 2 個の水素原子があります。

H: 8 × 1 = 2 × c  ‥‥(1)

最後に酸素原子を考えると、左辺は O2 に 2 個の水素原子、右辺は CO2 に 2 個の酸素原子と H2O に 1 個の水素原子があります。

O: 2 × a = 2 × 3 + 1 × c  ‥‥(2)

(1)(2)式を解くと a = 5 、c = 4

正解は①となります。

問3 正解 3

1.0 L の水溶液中に、水酸化ナトリウム NaOH が 4.0 g 溶けています。

NaOH の分子量は 40 です。( 23 + 16 + 1.0 = 40 )

NaOH のモル質量は 40 g/mol なので、求めるモル濃度は

\(\displaystyle\frac{4.0[g/L]}{40[g/mol]}\) = 0.10[mol/L]

問4 正解 4

化学反応式で使われている ⇄ は、化学反応が左から右、あるいは右から左のどちらにも進むことを示しています。

( → のときは、化学反応が左から右だけに進み、反応物から生成物が生じます。)

本問では、下線を付けた分子およびイオンが反応物となって、生成物へと反応が進むときに酸としてはたらくかを確認します。

例えば下線 a の H2O では、反応が左から右の → で進むときに、H+ を与えるのか受け取るのかを確かめます。

下線 a の H2O は H+ を受け取り、下線 b の H3O+ となるので塩基だとわかります。

同様に下線 b の H3O+ では、反応が右から左の ← で進むときに、H+ を与えるのか受け取るのかを確かめます。

下線 b の H3O+ は H+ を与えて、下線 a の H2O となるので酸だとわかります。

反応Ⅰ

下線 a の H2O は、酢酸 CH3COOH から水素イオン H+ を受け取るので塩基です。

下線 b の H3O+ は、酢酸イオン CH3COO に水素イオン H+ を与えるので酸です。

反応Ⅱ

下線 c の H2O はアンモニア NH3 に水素イオン H+ を与えるので酸です。

下線 d の OH はアンモニウムイオン NH4+ から水素イオン H+ を受け取るので塩基です。

問5 正解 2

ア~ウは、酸と塩基の中和反応でできた塩です。

中和反応で生成する塩を水に溶かすと、その液性は塩によって決まります。

基本的には、強酸と強塩基から生じた塩を水に溶かすと中性、強酸と弱塩基から生じた塩を水に溶かすと酸性、弱酸と強塩基から生じた塩を水に溶かすと塩基性を示します。

本問では、この基本の考え方で解けます。

ア 酢酸ナトリウム CH3COONa は、弱酸の酢酸 CH3COOH と強塩基の水酸化ナトリウム NaOH からできた塩です。

この塩を水に溶かすと弱塩基であり、pH 7 より大きくなります。

イ 塩化アンモニウム NH4Cl は、強酸の塩化水素(塩酸) HCl と弱塩基のアンモニア NH3 からできた塩です。

この塩を水に溶かすと弱酸であり、pH 7 より小さくなります。

ウ 塩化ナトリウム NaCl は、強酸の塩化水素(塩酸) HCl と強塩基の水酸化ナトリウム NaOH からできた塩です。

この塩を水に溶かすと中性であり、pH 7 となります。

問6 正解 1

酸化数は、化合物内の水素原子が +1 、酸素原子が -2 となるのが基本です。アルカリ金属の原子は +1 、アルカリ土類金属( 2 族元素)は +2 とします。

また、化合物全体の酸化数はゼロです。そして、化合物を構成する各原子の酸化数の総和は、ゼロとなります。

これらのルールより、それぞれの原子の酸化数を求めます。

1 HNO3 の酸化数は 0 、H の酸化数は +1 、O の酸化数は -2 であるので、

(+1) + N + (-2) × 3 = 0

これを計算すると、HNO3 内の窒素原子の酸化数は N = +5

NO の酸化数は 0 、O の酸化数は -2 なので、

NO 内の窒素原子の酸化数は N = +2

したがって、窒素原子の酸化数は +5 から +2 へ 3 減少しています。

2 H2O2 = 0 、H = +1 であり O = -1

O2 = 0 より O = 0

酸素原子の酸化数は -1 から 0 へ 1 増加しています。

3 化合物内の水素原子の酸化数は +1 なので H = +1

H2 = 0 より H = 0

水素原子の酸化数は +1 から 0 へ 1 減少しています。

4 CaCO3 = 0 、Ca = +2 、O = -2 より C = +4

CO2 = 0 、O = -2 より C = +4

炭素原子の酸化数は +4 で変わりません。

問7 正解 3

図 1 のグラフからわかるように、金属 M が 4 g 反応すると、水素 H2 が 0.10 mol 発生しています。

また化学反応式を見ると、M が 1 mol 反応すると水素 H2 が 1 mol 生成しています。

ですから水素が 0.10 mol 発生しているときは、M も 0.10 mol 反応しています。

金属 M は質量 4 g で 0.10 mol であり、また原子量を X とすると質量 X g で 1 mol となります。

したがって、 4 g : 0.10 mol = X g : 1 mol となるので、

\(\frac{4[g]}{0.10[mol]}\) = X[g/mol]

X = 40

2015年(平成27年)追試験 化学基礎 解答解説

第1問

問1 正解 6

純物質はただひとつの物質から成る、純粋な物質です。純物質が複数混ざっている混合物を、選択肢から除きます。

1 × 石油には、重油・軽油・灯油・ガソリン・石油ガスなどの原料となるさまざまな有機化合物が含まれます。石油はこれらの混合物です。

2 × オリーブ油は、複数の植物油の成分が含まれる混合物です。オレイン酸やリノール酸、リノレン酸などが成分として含まれています。

3 × セメントは、酸化カルシウムや二酸化ケイ素、酸化アルミニウムなどを含む混合物です。

4 × 炭酸水は、水に二酸化炭素を溶かした液体です。水も二酸化炭素も純物質です。炭酸水は、水と二酸化炭素の混合物です。

5 × 空気の成分比は、約 78 %が窒素、約 21 %が酸素、1 %未満がアルゴン、二酸化炭素、ネオンなどとなっています。多くの純物質が含まれるので混合物です。

6 〇 ドライアイスは、二酸化炭素が固体の状態となっているものです。二酸化炭素だけでできているので、ドライアイスは純物質です。なお、ドライアイスは昇華性があります。

問2 正解 5

1 〇 枝付きフラスコから冷却器の方へ流れていく気体を、途中で冷やして液体にして、三角フラスコで集めます。このとき、三角フラスコに集める気体の温度を正確に測りたいです。

そのため、枝付きフラスコの枝の付け根あたりで、冷却器に流れ込む気体の温度を測る必要があります。

2 〇 枝付きフラスコに入れる液体の量は、フラスコの半分以下にします。これは液体が沸騰したときに、冷却器側に流れ込むのを防ぐためです。

3 〇 沸騰が急激に起こる突沸を防ぐため、実験を始める前に沸騰石を入れておきます。

4 〇 リービッヒ冷却器の冷却水の流れる向きは、下部から上部への方向です。

下部から流すことで冷却器内に水が溜まり、冷却効果が高くなります。さらに、流れてくる気体の向きと冷却水の向きが逆の方が、冷却効果が高まります。

5 × 得られた液体を集めるため、アダプターと三角フラスコをゴム栓で接続すると、実験装置内の圧力が高くなります。

加熱によって気体が発生し、フラスコやその他の実験器具内の圧力が高くなるので、フラスコが割れたりゴム栓が飛んだりといった危険性があります。

圧力を逃がすために、アダプターと三角フラスコは密閉せず、三角フラスコにはアルミ箔などをかぶせます。

問3 正解 1

1 × 周期表の縦の列は、族といいます。周期表の横の列が、周期です。

2 〇 金属の特徴は、金属光沢があって電気や熱を伝えやすく、薄く引き伸ばせることです。

金属元素の単体は、金属結晶をつくっています。金属結晶は自由電子をもち電子が動きやすいので、電気や熱をよく伝えます。

3 〇 アルカリ金属の原子は、水素を除く 1 族の元素です。アルカリ金属であるリチウムやナトリウム、カリウムなどの原子は、最外殻に電子を 1 個もちます。

4 〇 希ガスは反応性に乏しい、安定な元素です。

希ガスの原子は、最外殻電子数が 8 個です。ヘリウム原子は 2 個の電子をもち、外側の電子殻が埋まっています。そのため、希ガスは他の原子と結合しにくいです。

5 〇 3 族から 11 族までの元素は、遷移元素といいます。遷移元素はすべて金属元素です。1 族、2 族と 12 族から 18 族までの元素を、典型元素といいます。

問4 正解 2

ネオン Ne は原子番号が 10 で、最外殻の電子数が 8 個の希ガスです。電子配置は K 殻に 2 個、その外側の L 殻に 8 個となっています。

1 × ベリリウム Be は原子番号が 4 で、最外殻の電子数が 2 個です。Be2+ イオンは電子を 2 個失っているので、最外殻の電子を 2 個失い、残っている電子は 2 個です。

そのため原子番号が 2 のヘリウム He 原子と同じ電子配置となり、電子は K 殻の 2 個となります。

2 〇 マグネシウム Mg は原子番号が 12 で、電子は K 殻に 2 個、L 殻に 8 個、最外殻の M 殻に 2 個の電子が入っています。

Mg2+ イオンは電子を 2 個失っているので、最外殻の電子を 2 個失い、残っている電子は 10 個です。

そのため原子番号が 10 のネオン Ne 原子と同じ電子配置となり、電子は K 殻の 2 個、L 殻の 8 個となります。

3 × カリウム K は原子番号が 19 で、電子は K 殻に 2 個、L 殻に 8 個、M 殻に 8 個、最外殻の N 殻に 1 個の電子が入っています。

K+ イオンは電子を 1 個失っているので、最外殻の電子を 1 個失い、残っている電子は 18 個です。

そのため原子番号が 18 のアルゴン Ar 原子と同じ電子配置となり、電子配置は K 殻の 2 個、L 殻の 8 個、M 殻の 8 個となります。

4 × 塩素 Cl は原子番号が 17 で、電子は K 殻に 2 個、L 殻に 8 個、最外殻の M 殻に 7 個の電子が入っています。

Cl イオンは電子を 1 個受け取っているので、最外殻の電子が 1 個増え、原子全体の電子は 18 個です。

そのため原子番号が 18 のアルゴン Ar 原子と同じ電子配置となり、電子配置は K 殻の 2 個、L殻の 8 個、M殻の 8 個となります。

5 × 硫黄 S は原子番号が 16 で、電子は K 殻に 2 個、L 殻に 8 個、最外殻の M 殻に 6 個の電子が入っています。

S2- イオンは電子を 2 個受け取っているので、最外殻の電子が 2 個増え、原子全体の電子は 18 個です。

そのため原子番号が 18 のアルゴン Ar 原子と同じ電子配置となり、電子配置は K 殻の 2 個、L 殻の 8 個、M 殻の 8 個となります。

問5 正解 3

共有結合の極性が大きくなるのは、それぞれの原子の電気陰性度の差が大きいときです。今回は片方が炭素原子で決まっていて、もう一方の原子が異なっています。

炭素原子と共有結合している 5 つの原子を見ると、窒素 N 、酸素 O 、フッ素 F 、塩素 Cl 、臭素 Br となっています。

上の表は、各元素の電気陰性度の値です。

細かい値は覚える必要はありませんが、炭素のような重要な元素と、よく出る窒素 N 、酸素 O 、フッ素 F 、塩素 Cl 、臭素 Br などの元素とでは、どちらが電気陰性度が大きいかは知っておきましょう。

今回は、この 5 つの元素すべてが炭素より電気陰性度が大きいです。

そこで 5 つの元素のうちで、最も電気陰性度が大きい元素を選べば正解となります。

電気陰性度が大きい元素はハロゲンで、そのなかでも最大なのが原子番号の小さいフッ素 F です。選択肢に電気陰性度が最大の F があるので、これが正解です。

希ガスを除くと、周期表では一般に、右上にある元素が電気陰性度が大きくなります。

窒素 N 、酸素 O 、フッ素 F 、塩素 Cl 、臭素 Br で電気陰性度の大きい順に並べると、

F > O > Cl > N > Br

です。

問6 正解 3

1 〇 塩化水素 HCl は、水素原子 1 個と塩素原子 1 個が結合した分子です。H - Cl と結合しているので、直線形になります。

2 〇 水 H2O は、水素原子 2 個と酸素原子 1 個が結合した分子です。

H2O では、分子の中心を酸素原子と考えると、O-H 結合をつくっている共有電子対が 2 個、酸素原子につく非共有電子対が 2 個あります。

この 4 つの電子対がなるべく離れるような形は、それぞれの電子対が正四面体の頂点にあるような構造です。

しかし、非共有電子対は分子の形としては見えませんので、残るのは中心の酸素原子と、そこから正四面体の頂点方向にある水素原子 2 個です。そこで水分子の形は折れ線形に見えます。

3 × アンモニア NH3 は、窒素原子 1 個と水素原子 3 個が結合した分子です。

NH3 では、分子の中心を窒素原子と考えると、N-H 結合をつくっている共有電子対が 3 個、窒素原子につく非共有電子対が 1 個あります。

この 4 つの電子対がなるべく離れるような形は、それぞれの電子対が正四面体の頂点にあるような構造です。

しかし、非共有電子対は分子の形としては見えませんので、残るのは中心の窒素原子と、そこから正四面体の頂点方向にある水素原子 3 個です。そこでアンモニアの形は三角錐形に見えます。

4 〇 メタン CH4 は、炭素原子 1 個と水素原子 4 個が結合した分子です。

CH4 では、分子の中心を炭素原子と考えると、C-H 結合をつくっている共有電子対が 4 個あります。

この 4 つの電子対がなるべく離れるような形は、それぞれの電子対が正四面体の頂点にあるような構造です。

5 〇 二酸化炭素 CO2 は炭素原子 1 個と酸素原子 2 個が結合した分子です。

CO2 では、炭素原子と酸素原子は二重結合をつくります。

分子の中心を炭素原子と考えると、この二重結合が炭素原子を挟んで正反対の位置にあるので、分子全体では直線形になります。

炭素原子のまわりには二重結合の電子の塊が 2 つあるので、これらの反発が最も小さくなるのが直線形です。

問7 正解 1

1 × ステンレス鋼は、鉄とクロムやニッケルなどとの合金です。

2 〇 セッケンなどの洗剤は細長い分子構造をしており、水になじみやすい親水の部分と水になじみにくい疎水の部分があります。

油汚れは親水の部分に溶けにくく、疎水の部分に溶けやすいです。そのため、油汚れを疎水の部分が取り囲んで除き、洗剤が球状になって汚れを落とします。

3 〇 水道水には塩素 Cl2 が添加され、殺菌に使われています。

Cl2 は水中で強い酸化剤の次亜塩素酸 HClO となります。

Cl2 + H2O → HCl + HClO

この次亜塩素酸 HClO とイオン化した次亜塩素酸イオン ClO は、病原微生物に対し殺菌作用があるので、細菌性赤痢やコレラなどを防ぐことができます。

4 〇 ビタミン C は、ビタミン C 自体が酸化されやすい還元剤です。そのためビタミン C を添加して、ビタミン C 自身が酸化されることで、食品の酸化を防止します。

5 〇 生石灰 CaO は吸湿性が強く、乾燥剤として使われます。

水との反応は以下の通りです。

CaO + H2O → Ca(OH)2

第2問

問1 正解 2

モル濃度が 0.1 mol/L の水溶液 1 L 中には、0.1 mol の溶質が含まれます。

そこで選択肢①~④の物質量 0.1 mol について、最も質量の小さいものを選びます。

これは 1 mol あたりの質量であるモル質量(分子量)で比べても、同じ結果になります。そこで①~④のモル質量を求めて、最もモル質量の値が小さい物質を選びます。

モル質量の値は、化合物中の各原子の原子量を足し合わせたものなので

1 NaCl のモル質量は 23 + 35.5 = 58.5 g/mol

2 NaOH のモル質量は 23 + 16 + 1.0 = 40 g/mol

3 MgCl2 のモル質量は 24 + 35.5 × 2 = 95 g/mol

4 CH3COOH のモル質量は 12 × 2 + 1.0 × 4 + 16 × 2 = 60 g/mol

となります。

これより、②が最も質量が小さくなります。

問2 正解 3

反応式より Na 2 mol が反応すると、H2 が 1 mol 生成することがわかります。

Na の原子量は 23 なので、Na のモル質量は 23 g/mol です。

グラフの横軸 0.23 g の位置は、Na の物質量が 0.01 mol にあたります。この Na 0.01 mol が反応したら、H2 は 0.005 mol 生成します。

横軸 0.23 g のところから垂直に上を見ていくと、発生した H2 の物質量が 0.005 mol となっている直線が正しい直線です。

直線③は Na が 0.23 g ( = 0.01 mol ) のとき、H2 が 0.005 mol 生成していることを示します。

問3 正解 6

質量パーセント濃度が 20 % の硝酸カリウム水溶液 1 L を考えます。

この溶液の密度は 1.1 g/cm3 なので、 1 L ( = 1000 cm3 ) あるときの質量は

1.1 g/cm3 × 1000 cm3 = 1100 g

となります。

水溶液全体の質量が 1100 g であり、質量パーセント濃度が 20 % なので、この水溶液の溶質の質量は

$$1100 × \frac{20}{100} = 220 g$$

です。

1 L の水溶液中に、硝酸カリウム KNO3 が 220 g 溶けていることがわかりました。

KNO3 のモル質量は、

39 + 14 + 16 × 3 = 101

101 g/mol となります。

したがって、質量が 220 g である KNO3 の物質量は

$$\frac{220 g }{101 g/mol} ≒ 2.2 mol$$

1 L の水溶液に 2.2 mol の溶質が溶けているので、モル濃度は 2.2 mol/L となります。

問4 正解 5

化合物中の酸素原子の酸化数は -2 です。また多原子イオン全体の酸化数は、イオン全体の電荷の値と等しいです。

多原子イオン全体の酸化数は、各原子の酸化数の総和となるので、これより下線で示した原子の酸化数をそれぞれ X として計算すると、

1 X + (-2) × 3 = -1 

X = +5

窒素原子の酸化数は +5

2 X + (-2) × 3 = -2

X = +4

炭素原子の酸化数は +4

3 X + (-2) × 4 = -1

X = +7

マンガン原子の酸化数は +7

となります。

問5 正解 2

0.10 mol/L の塩酸 HCl は 1 価の強酸で、0.050 mol/L の NaOH 水溶液は 1 価の強塩基です。

中和の化学反応式は

HCl + NaOH → NaCl + H2O

となります。

1 価の強酸と 1 価の強塩基の中和滴定なので、中和点で pH は大きく酸性側から塩基性側へと変化します。

また、中和に必要な NaOH 水溶液の体積 X mL を計算します。

中和点で H+ と OH の物質量が等しくなるので、

$$1 × 0.10 mol/L × \frac{10 mL}{1000 mL/L} = 1 × 0.050 mol/L × \frac{X mL}{1000 mL/L}$$

これを解くと X = 20 mL

NaOH 水溶液の滴下量が 20 mL のところで、大きく pH が酸性から塩基性に変化しているグラフ②が正解です。

問6 正解 4

1 〇 電池の正極では、電子が流れ込んで還元反応が起こります。

2 〇 電池の両極の電位差が、電池の起電力です。

3 〇 充電によって繰り返し使える電池を、二次電池または蓄電池といいます。

4 × 電池の負極では、電子を失う酸化反応が起こります。

亜鉛 Zn と銅 Cu を電極にするダニエル電池では、イオン化傾向が大きく、陽イオンになりやすい Zn が電子を失います。

そのため、電子を失い陽イオンとなる Zn が負極に使われます。

イオン化傾向が小さい Cu は正極に使われます。

5 〇 鉛蓄電池では、正極が酸化鉛(Ⅳ) PbO2 、負極が鉛 Pb となります。

放電で起こる化学反応は以下の通りです。

正極では、次のような電子を受け取る還元反応が起こります。

PbO2 + 4 H+ + SO42- + 2 e → PbSO4 + 2 H2O

負極では、次のような電子を失う酸化反応が起こります。

Pb + SO42- → PbSO4 + 2 e

問7 正解 1

1 × 水素よりイオン化傾向が小さい金属は、酸化力がない希硫酸に溶けません。Ag は水素よりイオン化傾向が小さいので、希硫酸と反応しません。

2 〇 カルシウム Ca は常温の水と反応して

Ca + 2 H2O → Ca(OH)2 + H2

となり、水素が発生します。

3 〇 亜鉛 Zn は水素よりイオン化傾向が大きいので、酸と反応します。

亜鉛 Zn は塩酸 HCl と反応して、

Zn + 2 HCl → ZnCl2 + H2

となり、水素を発生します。

4 〇 スズ Sn は水素よりイオン化傾向が大きいので、酸と反応します。

スズ Sn は希硫酸 H2SO4 と反応して、

Sn + H2SO4 → SnSO4 + H2

となり、水素を発生します。

5 〇 アルミニウム Al は高温の水蒸気と反応して、

2 Al + 3 H2O → Al2O3 + 3 H2

となり、水素が発生します。