[su_box title=”ポイント” box_color=”#0044cc”]
一定量の液体を正確にはかりとる器具が、ホールピペットです。
ビュレットは、滴定実験でビーカーに加える液体の量を、正確に測定するための器具です。
正確に一定量の溶液をつくるために使うガラス容器を、メスフラスコといいます。
中和滴定では、中和反応を利用して、濃度がわからない溶液の濃度を正確に調べます。
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中和滴定とは
中和滴定の実験について学ぶ前に、必要な情報を知っておきましょう。まず、実験で使う器具の名前と用途を覚えます。
実験器具
ホールピペット
一定量の液体を正確にはかりとる器具が、ホールピペットです。
ホールピペットは細長いガラス管で、真ん中あたりに膨らみがあり、上部に標線という線が 1 本あります。
安全ピペッターなどの器具を使い、溶液を下から吸い上げ、標線まで溶液が上ってくるようにします。
こうやって標線の位置まで溶液を吸い込むと、正確な量の溶液を得ることができます。ホールピペットで得た溶液は、ビーカーなどに移して次の操作をします。

ビュレット
ビュレットは細長いガラス管で、中に入れた液体をコックを開いて下部から排出します。
ビュレットは側面に目盛りがついているので、下から落とした液体の量を正確に知ることができます。
つまりビュレットは、滴定実験で下のビーカーに加える液体の量を、正確に測定するための器具です。

コニカルビーカー
通常のビーカーより上の口の部分がやや細くなって、振り混ぜやすくなったビーカーです。滴定実験のときにビュレットの下に置き、途中で振り混ぜつつ実験をします。
メスフラスコ
正確に一定量の溶液をつくるために使うガラス容器を、メスフラスコといいます。
上部が細くなったガラス容器で、細長い上部に標線という線があり、ここに溶液を合わせることで正確な体積にすることができます。
電子天秤などで正確に物質の質量をはかり、これを蒸留水に溶かしたあと、メスフラスコに入れることで正確な濃度の水溶液がつくれます。
または既に準備した他の溶液から、ホールピペットで正確に一定量をメスフラスコにはかりとり、標線まで蒸留水を加えて希釈することで、新たに正確な体積の溶液をつくれます。

中和滴定の目的
そもそも、中和滴定は何のためにするのでしょうか。
滴定とは、濃度のわからない溶液の濃度を正確に知るために行います。
例えば、A という物質が溶けている溶液の濃度を正確に調べます。この物質 A は、物質 B と化学反応を起こします。
化学反応式を考えればわかるように、化学反応では反応物の物質量が、簡単な整数比で反応します。これを利用します。
中和滴定の場合は、中和反応を利用しています。
例: A + B → AB なら A と B は 1 対 1 の物質量の比で反応する
B が溶けていて濃度が正確にわかっている溶液を用意します。これをビュレットに入れます。
濃度が未知の A の溶液を一定量、ビーカー(コニカルビーカー)にホールピペットで正確にはかりとります。
このビーカーにビュレットから B の溶液を落としていき(滴下といいます)、A と B の反応が完全に終わったときのビュレットの目盛りを読み取ります。
中和滴定では、pH指示薬の色が変わることで、反応が終わったことを確認します。
B の溶液の濃度と滴下した体積、ビーカーに入れた A の溶液の体積から、A の溶液の濃度が計算できます。
中和滴定実験の簡単な考え方を、下の模式図で示します。




問題演習
確認テスト1
次の特徴をもつ実験器具の名称を A ~ F から選びましょう。
1. 安全ピペッターなどで液体を吸い上げ、一定量の液体を正確にはかりとる器具。
2. 滴定実験で滴下した液体の量を、正確に測定するための器具。
3. 正確に一定の体積の溶液をつくるために使うガラス容器。
4. 通常のビーカーより上部がやや細くなっていて、振り混ぜやすいビーカー。
A:コニカルビーカー B:ビュレット C:ホールピペット
D:メスフラスコ E:メスシリンダー F:こまごめピペット
[su_accordion][su_spoiler title=”正解を見る” open=”no” style=”default” icon=”plus” anchor=”” anchor_in_url=”no” class=””]
1.C 2.B 3.D 4.A
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実践問題1(2019追第2問問5)
標準溶液をビュレットに入れ、試料溶液をホールピペットで採取してコニカルビーカーに入れて中和滴定を行うとき、用いられるガラス器具の適切な使い方に関する記述として下線部に誤りを含むものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。
① ビュレットの内壁を純水で洗ってから標準溶液で 2 ~ 3 回すすいだのち、標準溶液をビュレットに注ぎ入れる。
② ホールピペットは、内壁を純水で洗ってから試料溶液で 2 ~ 3 回すすいだのち、一定量の試料溶液をはかり取る。
③ コニカルビーカーの内壁を純水で洗ってから試料溶液で 2 ~ 3 回すすいだのち、一定量の試料溶液を入れる。
④ ビュレットの目盛りは、目の位置を標準溶液の液面と同じ高さにして読み取る。
⑤ ビュレットの最少目盛りが 0.1 mL のとき、目分量で 0.01 mL の位まで読み取る。
(2019年度センター試験 追試験 化学基礎 第2問問5 より引用)
[su_accordion][su_spoiler title=”正解を見る” open=”no” style=”default” icon=”plus” anchor=”” anchor_in_url=”no” class=””]
正解 3
中和滴定実験の流れを確認します。
Ⅰ まず標準溶液(濃度が正確にわかっている溶液のこと)をビュレットに入れます。
標準溶液は既に濃度が正確に決まっているので、ビュレット内でも濃度が変わらないようにします。
ですから、ビュレットを純水で洗ってそのまま使うと、ビュレットの内壁に残った水滴で標準溶液が薄まってしまい、標準溶液の濃度が変わってしまいます。
そのためビュレットを純水で洗ったあと、ビュレットの内壁を標準溶液ですすぎます。
ビュレットの内壁を標準溶液で流しておくことで、このあと標準溶液をビュレットに入れても濃度は変わりません。
Ⅱ 試料溶液(濃度がわからないので、中和滴定でこの濃度を調べます)をホールピペットで採取して、コニカルビーカーに入れます。
ホールピペットは、正確に一定量の液体を吸い上げてはかり取る器具です。
そのため、ホールピペットを純水で洗ってそのまま使うと、ホールピペットの内壁に水滴が残ってしまいます。
水滴が残ったまま試料溶液をホールピペットで吸い上げると、わずかに試料溶液に純水が混ざります。
すると、一定量の試料溶液を正確にはかり取るはずが、水滴が混ざった分だけ試料溶液の体積が少なくなってしまいます。
試料溶液の量が正確にはかり取れないと、誤差になります。
ですから、ホールピペットは純水で洗ったあと、試料溶液ですすぎます。ホールピペットの内壁に試料溶液の水滴が残っていても、試料溶液は正確な量をはかり取ることができます。
Ⅲ ホールピペットではかり取った試料溶液を、コニカルビーカーに移すときの注意。
一定量の試料溶液を、ホールピペットで正確にはかり取ることができました。そのあと、コニカルビーカーに正確な量の試料溶液を移します。
コニカルビーカーを純水で洗い、そこにホールピペットで試料溶液を入れます。水滴が残っていても、コニカルビーカーに入れた試料溶液の量は一定のままです。
もしコニカルビーカーを純水で洗い、さらに試料溶液ですすいでいたら、コニカルビーカーには試料溶液の水滴が残ってしまいます。
試料溶液の水滴が残っているコニカルビーカーに、ホールピペットで試料溶液を入れると、コニカルビーカー内の試料溶液の体積は、はかり取った一定量より大きくなってしまいます。
ですから、コニカルビーカーは純水で洗うだけで、試料溶液ですすぐことはありません。
Ⅳ ビュレットの目盛りを読み取るときは、ビュレットの内側の液面と、読み取る視線を一直線になるようにします。
つまりビュレット内の液面と目の高さを合わせ、液面の延長線上に自分の目があるようにして、液面と自分が読み取る視線を一致させます。
Ⅴ 目盛りを読み取って記録するとき、ビュレットについている目盛りより 1 桁下まで読み取ります。
ビュレットの最少目盛りが 0.1 mL ならば、目分量で 0.01 mL の位まで読み取ります。
例えば 8.4 mL と 8.5 mL の間に液面があるときは、さらに自分で目盛りの間を 10 等分しておおよそ読み取り、8.44 mL などと記録します。
1 〇 ビュレット内の標準溶液の濃度が水で薄まると正確な実験ができないので、水滴を標準溶液で洗い流します。
2 〇 ホールピペットは試料溶液を正確にはかりとる器具です。内部が水でぬれていると試料溶液が薄まってしまうので、ホールピペット内をあらかじめ試料溶液で洗い流します。
3 × コニカルビーカーには正確にはかりとった量の試料溶液を入れます。コニカルビーカーを試料溶液ですすいでしまうと、試料溶液の量が増えてしまい正確な実験ができません。
4 〇 液面の高さに目を合わせて、水平な視線で目盛りを読み取ります。
5 〇 最少目盛りの 1 桁下まで数値を読み取ります。
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実践問題2(2017本第2問問4)
ある物質の水溶液をホールピペットではかりとり、メスフラスコに移して、定められた濃度に純水で希釈したい。
次の問い( a ・ b )に答えよ。
a ホールピペットの図として正しいものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。

b このとき行う操作Ⅰ・Ⅱの組合せとして最も適当なものを、下の①~④のうちから一つ選べ。
操作Ⅰ
A ホールピペットは、洗浄後、内部を純水ですすぎそのまま用いる。
B ホールピペットは、洗浄後、内部をはかりとる水溶液ですすぎそのまま用いる。
操作Ⅱ
C 純水は、液面の上端がメスフラスコの標線に達するまで加える。
D 純水は、液面の底面がメスフラスコの標線に達するまで加える。

(2017年度センター試験 本試験 化学基礎 第2問問4 より引用)
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正解 a 4 b 4
a
器具の名称は、1 はこまごめピペット、2 はビュレット、3 はメスシリンダー、4 はホールピペット、5 はメスフラスコです。
それぞれの器具の用途は、
1 は大体の量の液体を滴下(正確には測定できない)
2 は正確な量の液体を滴下(滴定実験で用いる)
3 は液体の大まかな体積を測定する(正確には測定できない)
4 は決められた正確な量の液体をはかりとる(そのあとビーカーやメスフラスコなど別の容器に移す)
5 は決められた正確な量の液体をつくる(メスフラスコ内に正確にはかりとった液体を入れ、蒸留水などを加えて決められた正確な体積の溶液とする)
などです。
b
操作Ⅰ
ホールピペット内を純水ですすぎ、水滴がついたまま溶液をはかりとると、はかりとる溶液の濃度が薄まってしまいます。そのため、同じ溶液ですすぎます。
操作Ⅱ
メスフラスコの標線と、溶液の液面のくぼんで平らになった線を合わせます。
(参考)
容器に液体を入れたときに、液面が屈曲する現象をメニスカスといいます。ガラス容器内の液面を読み取るとき、ガラス器具の標線と液面の底面を合わせます。

ここでは左の A の図のように、下にへこんだ形の液面となります。図の点線のように、液面の底面で数値を読み取ります。

上の画像は、実際のガラス器具内の液面です。やや見にくいですが、液面の底面と目盛り線から、21.00 mL と読み取れます。
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